12/19(月)19:00~ 『少女Aの帰還』 初日
2011年 12月 23日
「箱」プロジェクト 連続公演第一弾
『少女Aの帰還』 初日(12/19(月)19:00~) @シアターコレド
2日間公演の初日。
実質1週間という短期間での創作期間(プレ稽古を入れれば2週間)で臨む公演ではあったものの、不思議と作品に対しての不安感はなかった。
創作期間は短かったけれども、短いなりに充実したいい稽古時間を過ごすことができた、という実感からくる自信が、その落ち着きを生んでいたのかもしれない。
ただ、そうは言っても序盤(特に1場)はさすがに固かった。
それはたぶん、個人的な話をすれば、久々に「人前に立つ」という状況に身を置いたので、その空気に馴染み、対応するのに若干の時間を要したことが原因だと思う。
また、開場から開演直前までの客入れ中に出演者も会場案内を行っていたのだけれども、こういった形式での開演前の過ごし方は初めてだったため、その環境を利用できるような時間の過ごし方をまだ十分に見い出せていなかったことも原因のひとつであったのだと思う。
が、そうはいってもそれが致命傷になるようなミスに繋がったりとか、或いは稽古時に積み重ねてきたことを全く発揮できずに最後までいってしまったとか、そういう訳ではなかったので、まあ、よくも悪くも初日らしい現象だったのかもしれない。
従って、この経験はしっかりと2日目(千穐楽)に活かせるようにしておきたい。
作品の話をすると、おそらくは前半の固さが原因なのだろうけれども、全体的にきっちりとした、いかにも「舞台上で戯曲を読み、内容を伝える」といった感じの出来であったように感じた。
それはいい面もあれば悪い面もあって、よく言うならば「戯曲の内容がしっかりと伝わる」という今回の公演の企画趣旨にとてもマッチした印象の与え方をしたのではないかと思う。
これは演出の江野澤くんも同じことを言っていて、その反面、舞台作品としての面白みにはやや欠け、「ドラマリーディング」であることの魅力が十分に観客へと伝わらなかった、とも言える。
実はこの直前に行ったゲネの時が、この初日の出来とは逆で「戯曲の内容がよく分からないけれども妙に面白い」という感じの出来であった。
なので、物凄く微妙なラインでの駆け引きなのかもしれないが、おそらくは、ゲネよりは丁寧に、しかし初日よりは軽やかに力強く、という感じに、本日行った2回の中間くらいでバランスがうまく取れるといいのだろうなという気がした。
そしてそれは、難しいけれどもたぶん不可能なことではないのだろうなとも思っている。
というのも、初日の固さの原因がはっきりとしているからだ。
今回のような特殊な形態での客入れを出演者達は経験し、この作品も観客を経験した訳なので、同じ轍を踏まず、気持ちが守りに入りさえしなければ初日のような固さは訪れないはず。
なので心掛けるべきは「固くならない」という点に非ずで、むしろ「雑にならず、一つひとつの言葉・所作にこれまでの稽古で積み重ねてきたものをしっかりと封じ込める」という点にあると思う。
特にこの「封じ込める」が大切なのだと思っていて、ここが「ドラマリーディング」という上演形態において最も鍵となってくるポイントなのだな、ということを初日を経て気付いた。
マグマのような強烈な熱量を持った想いを抱きつつ、しかし表向きにはそれを1ミリも漏らすことなく静かに、稽古で積み重ね、見い出してきた整理の流れ、声質、身体の状態を保ちつつ、言葉を発する。
100のエネルギーを発するのに100用意するのではなく、200でも300でもいいからとにかく沢山のエネルギーを用意してそれを100に圧縮させ、発することが必要なのだと思う。
そしてそのためには今日のような準備の仕方では全く追い付かないだろう。
もっともっとアップもしっかりせねばならないし、客入れ中の過ごし方にも工夫が必要だ。
朝起きてからの全ての行動が本番に繋がる過ごし方を、明日は心掛けたい。
あと、少女Aと男のとあるシーンでの心の持ち方について、今日の本番を経て気付いたことがあったので、このことは明日の返し稽古の前にでも野中さんと軽く話しておきたい。
たぶん、そうすることであのシーンはお互いに気持ちに一本の芯が通ってこれまで以上に切なくなるのではないかと思うので。
2日間公演ということで、早くも明日がラストになってしまうが、最後の瞬間まで、前進することしか考えてはいないので、攻め続けてゆきたく思う。
横山 真
『少女Aの帰還』 初日(12/19(月)19:00~) @シアターコレド
2日間公演の初日。
実質1週間という短期間での創作期間(プレ稽古を入れれば2週間)で臨む公演ではあったものの、不思議と作品に対しての不安感はなかった。
創作期間は短かったけれども、短いなりに充実したいい稽古時間を過ごすことができた、という実感からくる自信が、その落ち着きを生んでいたのかもしれない。
ただ、そうは言っても序盤(特に1場)はさすがに固かった。
それはたぶん、個人的な話をすれば、久々に「人前に立つ」という状況に身を置いたので、その空気に馴染み、対応するのに若干の時間を要したことが原因だと思う。
また、開場から開演直前までの客入れ中に出演者も会場案内を行っていたのだけれども、こういった形式での開演前の過ごし方は初めてだったため、その環境を利用できるような時間の過ごし方をまだ十分に見い出せていなかったことも原因のひとつであったのだと思う。
が、そうはいってもそれが致命傷になるようなミスに繋がったりとか、或いは稽古時に積み重ねてきたことを全く発揮できずに最後までいってしまったとか、そういう訳ではなかったので、まあ、よくも悪くも初日らしい現象だったのかもしれない。
従って、この経験はしっかりと2日目(千穐楽)に活かせるようにしておきたい。
作品の話をすると、おそらくは前半の固さが原因なのだろうけれども、全体的にきっちりとした、いかにも「舞台上で戯曲を読み、内容を伝える」といった感じの出来であったように感じた。
それはいい面もあれば悪い面もあって、よく言うならば「戯曲の内容がしっかりと伝わる」という今回の公演の企画趣旨にとてもマッチした印象の与え方をしたのではないかと思う。
これは演出の江野澤くんも同じことを言っていて、その反面、舞台作品としての面白みにはやや欠け、「ドラマリーディング」であることの魅力が十分に観客へと伝わらなかった、とも言える。
実はこの直前に行ったゲネの時が、この初日の出来とは逆で「戯曲の内容がよく分からないけれども妙に面白い」という感じの出来であった。
なので、物凄く微妙なラインでの駆け引きなのかもしれないが、おそらくは、ゲネよりは丁寧に、しかし初日よりは軽やかに力強く、という感じに、本日行った2回の中間くらいでバランスがうまく取れるといいのだろうなという気がした。
そしてそれは、難しいけれどもたぶん不可能なことではないのだろうなとも思っている。
というのも、初日の固さの原因がはっきりとしているからだ。
今回のような特殊な形態での客入れを出演者達は経験し、この作品も観客を経験した訳なので、同じ轍を踏まず、気持ちが守りに入りさえしなければ初日のような固さは訪れないはず。
なので心掛けるべきは「固くならない」という点に非ずで、むしろ「雑にならず、一つひとつの言葉・所作にこれまでの稽古で積み重ねてきたものをしっかりと封じ込める」という点にあると思う。
特にこの「封じ込める」が大切なのだと思っていて、ここが「ドラマリーディング」という上演形態において最も鍵となってくるポイントなのだな、ということを初日を経て気付いた。
マグマのような強烈な熱量を持った想いを抱きつつ、しかし表向きにはそれを1ミリも漏らすことなく静かに、稽古で積み重ね、見い出してきた整理の流れ、声質、身体の状態を保ちつつ、言葉を発する。
100のエネルギーを発するのに100用意するのではなく、200でも300でもいいからとにかく沢山のエネルギーを用意してそれを100に圧縮させ、発することが必要なのだと思う。
そしてそのためには今日のような準備の仕方では全く追い付かないだろう。
もっともっとアップもしっかりせねばならないし、客入れ中の過ごし方にも工夫が必要だ。
朝起きてからの全ての行動が本番に繋がる過ごし方を、明日は心掛けたい。
あと、少女Aと男のとあるシーンでの心の持ち方について、今日の本番を経て気付いたことがあったので、このことは明日の返し稽古の前にでも野中さんと軽く話しておきたい。
たぶん、そうすることであのシーンはお互いに気持ちに一本の芯が通ってこれまで以上に切なくなるのではないかと思うので。
2日間公演ということで、早くも明日がラストになってしまうが、最後の瞬間まで、前進することしか考えてはいないので、攻め続けてゆきたく思う。
横山 真
by yukinone_makoto
| 2011-12-23 22:57
| 出演レポ