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演劇家・横山真が己の表現の追求・具現化のために発足したプロデュースユニット。生(LIVE)の表現にこだわり、演者から発せられる音・熱・呼吸・視覚的印象などを五感+αで感じられる作品創造を目指す。


by yukinone_makoto
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10/25(日)『コドモもももも、森んなか』本番11日前

10/25(日)12:00~22:00 @STスポット→ふりーふらっと・201号室

【外界への印象】
《天候》
●雨
・空気が冷たい
・時間の流れ方がゆったりしている感じがする
《空間》
●STスポット
・会場全体は記憶の中でイメージしていた広さよりも狭く感じる
・一方、アクティングエリアは稽古場で想定していたよりもだいぶ広くなった
・ある程度までなら小さな声であってもよく聞き取れる独特の反響のよさがあり、下手に声を大きくすると逆に何を言っているのか聞き取れなくなってしまう不思議な感覚
・壁の白さのせいか、視覚的にも無機質な質感を抱かせられる
・床が絨毯を敷いているものの、その下がコンクリートのために固い
●ふりーふらっと・201号室
・とにかく狭い
・照明の明るさのせいか、空間全体が見渡せ過ぎてしまう

【身体状況】
・左側の頭が痛い
・ものすごく意識のベクトルが内向きで、閉じられているような感覚
・何故か気付くと重心が右足に乗っていることが多い
・下半身がずーんという感じに重い

【今日のテーマ】
◆とにかく空間を知る

【レポート】
今日は、本番会場として使用するSTスポットにて稽古を行った。

こうして小屋入りをする前から実際の上演会場である場所で稽古ができるというのは、役者にとっても非常にありがたい。
やはりどうしても稽古場と劇場では全てにおいて感覚が違ってきてしまうし、劇場という空間だからこそ気付けるものが沢山あるからである。

それはたとえ1年前に同じ会場での公演を経験している自分にとっても同様のことが言えた。
それは記憶というものの不確かさや曖昧さをよく表していることの証明でもあって、自分の中にあった記憶と実際に再び会場を訪れてみた際の印象のズレに多少の戸惑いすら覚えてしまうほどであった。
如何に人の記憶が主観によって書き換えられていってしまうのかがよく分かった気がする。

という訳で、今日も非常に多くの発見があった。

◆音の反響のよさ
前回使用した時にもそうだったのだが、この点がなによりも先に感じたことである。
キャパが100に満たないとはいえ、ここまですっきりと言葉を聞き取れてしまう空間は、同規模の会場でもなかなかないのではないか。
これによって気を付けなければならない点は、

・強めの声が自分で思っているよりも観客にはうるさく聞こえてしまう可能性が高いため、もし強めの声を発しなければならない時には、その声質にひと工夫が必要になってくる(例:突き刺さる系の声はそのベクトルと距離感を余程明確に持たねば不快感を与える、など)
・音が聞き取りやすい分、多少声を抑えても観客が聞き取れてしまうため、そのエネルギーと声量のバランスをしっかり意識して声をコントロールしないと、知らず知らずのうちにそのエネルギーまでも押さえ込んでしまってただ単に小さい演技になってしまうだけの危険性も孕んでいる。
・これだけ聞き取りやすいのだからこそ、「静寂」や「息遣い」などの繊細な音をうまく利用できれば面白いかも。

といったところか。

◆空気が悪い
おそらくは季節的な問題もあるのだろうし、また、地下劇場の特性でもあるのだろうが、会場内がとにかく乾燥していて少しでも気を抜くと粘膜を痛めてしまう危険があるように感じる(特に自分は粘膜が弱いこともあるのだろうが)。
そのため、役に関わっていない時には基本的にマスクを利用してみたり、こまめに水分補給をしながら喉の潤いを保つ努力を怠らないよう心掛けてゆきたい。

◆壁の質感と奥行き
ここの壁は白いこともあり、観客に独特の印象を与える質感を持っている。
特に奥行きが、実際のサイズよりも遠くに感じさせられるのではないかと思う。
そのため、舞台上での目線や居住まいなどをよくよく注意してゆかないと、観客がふとした瞬間に劇場(現実)に引き戻されてしまう可能性が高い。

また、思っていた以上に縦に長い空間であるため、客席によって生まれる死角などもある程度把握しておくことも必要かなと思う。
まあ、あまりそこの部分に捉われて芝居が縛られてしまうのも危険なのだが、観客がストレスに感じてしまうであろう要素は可能な限り減らしておくに越したことはないので。

◆出ハケ
何よりも、裏が狭い。
この狭さは出演人数を考えたら相当厳しいものがある。
そのため何よりもまず、裏での待機場所や小道具、衣装換えの位置、そして交通整理をしっかりとしてゆかねばならない。
そして、助走がつけられない状態で登場せねばならなかったり、混雑している裏へ走って澱みなくハケられるようにせねばならなかったりと、出ハケの際に工夫してゆかねばならないことが沢山ある。
人数も人数なので、これは役者全員で協力し、うまく連携してゆくことが重要になってくると思う。


とりあえず、今日主に気付いたことはこんなところ。

まだまだ色々と考慮してゆくべきことは沢山あるし、何よりもまだ自分達のこの空間での居住まいがお客さんのままである。
今後も小屋入り前に何度か劇場稽古はあるので、徐々にこの空間を我が物にしてゆけるようにしたいなと思う。


次回稽古は10/26(月)となります。

【次回稽古(10/26)に向けて】
◆宿題…崩れ気味の体調を整える
◆テーマ…今いる場所のイメージを明確に持つ


横山 真
by yukinone_makoto | 2009-10-26 00:42 | 稽古場日記