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演劇家・横山真が己の表現の追求・具現化のために発足したプロデュースユニット。生(LIVE)の表現にこだわり、演者から発せられる音・熱・呼吸・視覚的印象などを五感+αで感じられる作品創造を目指す。


by yukinone_makoto
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やる側の都合観る側の都合

近頃よく感じてしまうのが、演劇関係の人というのは芝居そのものよりも「芝居に関わっている自分」の方が好きな人が多いんだろうなって事です。

だから、やる側の都合しか見えていない。
観る側の都合などはお構いなしだからこそ、自分達の言いたい事を全部詰め込むような事も平気でできてしまうし、お客さんを置いてけぼりにした変なこだわりみたいなものを作品のクオリティを犠牲にしてまで盛り込めたりできてしまうのでしょう。

なんでそんな事になってしまうのかと色々考えてみたのだが、もしかすると「知り合い以外の芝居(或いは表現活動)をあまり観ていない」からというのが大きいのではないかという結論に達しました。

結局、観る側になっても内輪なんです。
内輪だから、たとえ不満を感じたとしても変な仲間意識のせいでそれを問題と捉えられず、そこから何かを学び自分達の活動へ生かそうという意識が稀薄になってしまうのではないだろうか、、、そう思ってしまうのです。

だとしたら、これほど悲しい事はないです。


作品のクオリティは当然の事ながら、空間に一歩足を踏み入れた時の印象、受付をはじめとしたスタッフワーク、美術、音響、照明、当パン、アンケート、前説、後説 etc、、、
それ以外にも、
前日の案内連絡、後日のお礼連絡、広報、web告知、フライヤー(チラシ)、告知DM、お礼DM、予約・問合せへの受付対応 etc、、、
お客さんに関わる事柄を今簡単に思い浮かべてざっと挙げてみただけでも、これほど検証すべきポイントはあります。
また、これは従来のシステムである訳だから、そこに違った切り口を盛り込みたいのであればまさに考える事は無限にあります。

にも関わらず、ただでさえお客さんに不親切な部分の多い今の演劇公演の画一化されたシステムの上へ、更に内輪にしか通用しない発想を乗せてしまう事の怖さに鈍感なのは、本当に危惧すべき問題です。
もっと危機感を持って一つひとつの事柄へと向き合ってゆく事は、これからの演劇が生き残ってゆくために必要不可欠な事なのだと思います。

そしてそれは、演劇そのものに対しての愛がなければ気付けないようにも自分は思います。
少なくとも「演劇をやっている自分」しか見えていない人間では、その発想に他者が絡んでこない訳ですから。


横山 真
by yukinone_makoto | 2008-11-30 08:35 | つれづれと