演劇家・横山真が己の表現の追求・具現化のために発足したプロデュースユニット。生(LIVE)の表現にこだわり、演者から発せられる音・熱・呼吸・視覚的印象などを五感+αで感じられる作品創造を目指す。


by yukinone_makoto
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6/2(土) 『方丈の海』稽古12日目

6/2(土)19:30~21:00 @10-BOX box-3

【外界への印象】
《天候》
●晴れのち曇り
・昼間暑いくらいだったのに夕方から急に冷えたため、身体が追い付かない
《空間》
・視覚的印象:だいぶ慣れてきたためか、床や壁の傷など、目から得られる情報量が増えてきた
・音:大きい声を出すと意外としっかり残響が聴こえてくるもんなんだなと気付いた
・その他:外との気温差がおかしい

【稽古前の身体状況】
・喉の奥の方がべたっとするため、声にも切れがないように感じる
・首が前に出気味な感覚
・腰が重い
・寝不足のせいか、眉間の辺りがもやもやしている妙な感じ
・音の聞こえ方が、薄い膜のようなものがかかっているように遠く感じる

【今日のテーマ】
◆台詞や動きのメリハリを強く意識する

【ふりかえり】
本日、6月最初の稽古。
という訳で、今日から小節という役へのアプローチの仕方を次の段階へと移行させてみることにした。

その成果なのか、今日の稽古では、ある2つの台詞が、これまでにないほどにストンと自らの身体の中に落ちた感触があったのが最も大きな収穫であった。

その瞬間は、自分自身でも驚いてしまった。
まるで本当に自分の口から出てきた言葉なのかと思うような、小節としての言葉で台詞を発することができていたのだ。
しかもそれは、これまでの小節との向き合いの中では一度も見せなかった顔で、「おいおい、お前こんな風に喋れるんだったのかよ」とさえ思えるような瞬間であった。

そのお陰で、その前と後で、小節の舞台上での居ずまいが劇的に変化したように感じている。
明らかにいい意味で役が軽くなっていたのだ。
台詞も動きも硬軟織り交ぜたメリハリをつけられるようになっていて、前までは一定のリズムでしか動いたり喋ったりすることができなかったのが嘘のように、すっと変化をつけられるようになっていた。

但し誤解のないように説明しておくと、ここでいう「軽くなった」というのはただ単にキャラクターが軽くなったという意味ではない。
そもそも小節という役は、背負っているもののとてつもなく多い人間であり、重い軽いで言ったら確実に重い存在だ。
いくらメリハリをつけねば表現としては退屈だとはいっても、安易な気持ちで表面だけ取り繕ってもすぐにその薄っぺらさはバレてしまうだろう。
しかしそうはいってもこれまでの数ヶ月間の稽古の過程で色々と小節のことを考え、ある種の理論武装することによって必要以上に重くしてしまった部分も確実に存在している訳で、そんな己の中の重装備をしてしまった小節像から余計な飾りを削ぎ落とす必要があったのだ。

そこで一見無駄の多い作業のように思うかもしれないが、今回の自分は、まず第一段階として「戯曲から読み取れる己の役についての諸々を身体に染み込ませる」ところから始め、それがある程度進んできたら、そこから今度は次の段階として「舞台上での目の前の状況と、それに対する己の身体の反応の模索」を最優先事項にシフトさせて稽古を行ってみる、という段階の踏み方を採っていたりする。
要は、第一段階時には戯曲を出発点にして、役の生理の流れと自分自身の身体の性質との刷り合わせを中心に行い、第二段階時には身体を出発点にして、自分自身が俳優としてやりたいこととこれまでの積み重ねてきたものとをぶつけ合って何が生まれてくるのかを探るのを中心に行ってみる、という風に、段階を跨ぐ際に価値観を逆転させてみようというもので、その変化によって生まれた役を演じる上での不都合をどう消化してゆくかによって、新たな役の一面を発見できるのではないかと思った、という訳だ。

これは己の役に血の通わせるためにはかなり重要な作業だと自分は思っていて、理路整然とした存在から、内に矛盾を孕みながらもたしかに実在している存在へとシフトさせてゆくための作業である。
もちろん、アプローチが極端なので段階を移行させる際にはだいぶ苦労することは多いが、その苦労は、矛盾に満ちた人間という存在を演じるためには必要不可欠な苦労だと思っている。

今日のあの台詞の腑に落ち具合は、そんな仕掛けの中で生まれたものだったのだろうなと思う。

しかしまあ、だからといって安心ばかりもしていられない。
今日のよかったものは今日のこと。
明日は明日で、今日のよかったものをなぞろうとするのではなく、今日のよかったものを更新させるつもりで臨んでゆかねばなと、そう思う。

【備忘録】
・上にも書いた、腑に落ちた台詞を発した後、自分はかなりノッた状態でシーンを進めることができたのだが、いい状態というのは同時に危険も孕んでいるもので、明らかに間違えようのない言葉の言い間違えをしてしまった瞬間があった。あれは調子に乗りすぎて言葉を発する前のイメージを疎かにし、ただ自動的に自らのインプットした言葉を羅列して喋ってしまったことが問題だったのだと思う。調子がいい時だからといって油断はしない。一つひとつを丁寧に扱うようにする。

・一度入れたはずの台詞が、日が経つにつれて細かいフレーズなどの部分でだいぶ正確性を欠いてきている。今一度、戯曲を読んでみて、極力正確に言えるようにしておきたい。

次回の稽古は6/3(日)になります。

【次回(6/3)稽古に向けて】
◆宿題…諸々の不調部分のケア
◆テーマ…言葉一つひとつ、行動一つひとつ、丁寧に扱うことを強く意識して


横山 真
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by yukinone_makoto | 2012-06-03 03:02 | 稽古場日記