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演劇家・横山真が己の表現の追求・具現化のために発足したプロデュースユニット。生(LIVE)の表現にこだわり、演者から発せられる音・熱・呼吸・視覚的印象などを五感+αで感じられる作品創造を目指す。


by yukinone_makoto
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2/13(土)19:00~ 『たゆたう、もえる』 初日

こまばアゴラ劇場 冬のサミット2009参加作品/
マームとジプシー2月公演『たゆたう、もえる』初日(2/13(土)19:00~) @こまばアゴラ劇場

この日の昼にはゲネを行ったのだが、その際にどうしてもこのアゴラ劇場という空間に慣れ切れていないように感じた。
まだまだお客さんのような居住まいで舞台上に立っているような気がしたのだ。

まあ、役によっては居住まいが不慣れでもいいのかもしれないのだが(や、実際はよくないが、最悪その状況を利用することも可能だという意味で)、この時の状況としてはそれ以前のレベルで、例えば、

・舞台美術が完全に背景になってしまっていて、俳優の身体と美術が別空間の異質な存在同士の関係性でしかなかった
・声の反響具合がまだ身体で把握しきれていないためか、声の緩急の付け方に戸惑いが見られた
・楽屋口の階段で足を踏み外してしまったり、恐る恐るハケてみたりと、出ハケにも課題が見られた

他にも小屋入りしてから実際の尺と稽古場の尺の差の分だけ段取りに変更があったりしたためそこでいっぱいいっぱいになってしまったりと、実に多くのところで初日に向けての課題が残ったゲネであったと思う。

それらの課題を本番前の返し稽古で修正しつつ(さすがに全体稽古でそれら全てを修正するのは無理なので、細かい部分は各々で行ったが)、初日を迎えることとなった。


率直な感想としては、皆固かった(特に前半)。
まあ、3場辺りからの後半で巻き返せてはいたので、全体的に見れば、そこまで悪くもなかったといえるかもしれない。まあ、よくもなかったが。
しかし、このように自分達で「よくもなく悪くもなく」と感じている時というのは、大抵の場合及第点以下の出来であると考えねばならないと思う。

個人的な話をすれば、自分は4場のあるシーンでの場転のきっかけを一箇所ミスしてしまった。
幸い全体の流れには影響を与えるようなことにはならず、大きな傷に到るようなことはなかったのだが、普段の自分ならばまずやらないであろうあのようなミスを犯してしまったのは、どこか心の中で油断があったのかもしれない。
ちょうど作品も終盤に差し掛かっていて、前半には過度に見られた舞台上の緊張感も適度なものへと落ち着きつつあり、意識の空白が生まれ易いタイミングだったとも見ることが出来たからだ。
しかしそれがミスをしていい理由にはならないし、大怪我には繋がらなかったが、紙一重であったのも事実だ。
二度と繰り返すことのないよう戒めねばならない。

ただ、そのミスの後はいい意味で開き直れたせいか、最後のくことのやりとりはそれまでの稽古を含めても一番よかったような気がする。
こういう引きずらないところは自分でも強みだなとは思う。
まあ、ミスしないのが一番なんだから、全然威張れることじゃないが。


総じて省みてみれば、非常に初日らしい初日だったのかもしれない。
とはいえ、過去のマームの公演に比べてみれば、前作『コドモも~』辺りから初日の安定感は確実に増してきてはいる。
しかし、これまでと比較しても何にもならない訳で、もっともっと高いレベルを目指してゆかねばと思う。


横山 真
by yukinone_makoto | 2010-02-20 22:20 | 出演レポ